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百貨店のビジネスモデルは国外でも厳しい [ヨモヤ]

もう数十年も前になるが、卒業旅行でヨーロッパを回った。
貧乏学生のツアーであり、節約しながら数か国を旅した。
当時、パリでもローマでも、日本人の姿がやたらと目立った。
特に、ルイ・ヴィトンなどのブランドショップには、大げさではなく日本人しかいない感じだった。

予備知識なしにヨーロッパに行き、困ったことの一つは、
街中にトイレがないことだった。
まだ寒い時期だったこともあり、散策中に催すことがある。
そこで重宝したのが日系の百貨店であった。

ローマには有料の公衆トイレがあるのだが、それなりにかかるし汚いしで、
学生の身としては使いたくなかった。
「ローマ三越」があって助かった記憶がある。
高級品が多く、学生には手が出なかったが、ホッとできる空間だった。

その「ローマ三越」が10日、閉店してしまったそうだ。
1975年の開店以来46年続いた歴史に幕を下ろしたということになる。
コロナ禍にあって、
昨年はほとんど営業できず、
アジアからの観光客が戻るのがいつになるかもわからない、
というなかでは、これ以上踏ん張り切れなかったのだろう。
いい潮時だったのかもしれない。
これで、かつてロンドンやパリなど欧州各地にあった三越と伊勢丹の最後の1店が消えることになるのだという。

閉店の直接的な引き金はコロナ禍だが、
日本型百貨店のビジネスモデルは国外でも厳しくなっているのかもしれない。
かつて、百貨店で買い物をする、
ということはステータスでもあり、
間違いのないものを買えるという点でのメリットもあった。
情報があふれた時代にあっては、
間違いがないところで間違いがないものを買う、
ということにあまり価値が置かれないのかもしれない。
また、なんでもある、ということの価値も急速に薄れている。

世界の大都市に日系の百貨店があることは、なんとなく誇らしかったのだが、
時代は変わったということなのだろう。
寂しいが、
仕方がない。

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