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どのくらいの赤字までが許されるのか今のところわからない [ヨモヤ]

いい話題でも、悪い話題でも、世の中はオリンピック一色。
それでいいと思うし、そうありたいが、
国の財政も大事。

内閣府が、国と地方の財政収支の見通し「中長期の経済財政に関する試算」を経済財政諮問会議に提出した。
注目されたのは、基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の達成見込み時期。
高成長を前提とすると、2027年度に黒字化する見通しで、前回試算の29年度から前倒しとなった。
PB達成の見通しについては、先送りされるのが定番で、
前倒しの試算はちょっとしたサプライズ。

前倒しの原因は、2020年度の思わぬ税収の増。
「去年は緊急事態宣言やらなにやらで多くの企業、お店が影響を受けたはず」
と思う人が多いだろうが、
日本経済新聞によれば、
「飲食業などはもともと大半が赤字で法人税を払っておらず、大きな減収要因にならなかった」
とのことである。
さらっと書いてあるが、大半がもともと赤字で法人税を払っていない、という事実には考えさせられるところもある。

ただし、前倒しとなる「成長実現ケース」は、
成長率が実質2%程度、名目3%程度を上回る、
ということが前提であり、実際にはあまりありそうにない。

ありそうな低成長が続くケースは、
2030年度でも目標達成は難しい、
とされているが、こちらの方が常識的な感覚だろう。
もともとの政府目標は2025年度での黒字化だが、この達成を信じる人はほとんどいないだろう。
今回の試算でも、成長実現ケースでも2025年時点では赤字のままとされている。
コロナもあり、目標年限の延長は避けられないと見込むのが普通だと思う。

国・地方の公債等残高は、21年度に対GDP比211%となり、さらに悪化が進んでいる。
しかし、2020年度はコロナ禍にあって財政で下支えをするのが避けられない状況だった。
世界各国もコロナ対策で巨額な財政出動をした時期であり、
今回の赤字の拡大はやむを得ない。

国の赤字がどのレベルまで許容されるのか、
ということについては、議論が延々と続いている。
財政規律一辺倒はよくないことがすでにはっきりしていると思うが、
一方で野放図に赤字を拡大し続けていいはずもない。
「いい加減」がどのくらいなのか、なかなか見えてこないのが現状である。

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