SSブログ

映画評 「海辺の金魚」 [映画評]

去年公開され、評判は全くよくなかったのだけれど、
個人的に強くひかれた映画に、
「ビューティフルドリーマー」
という作品がある。
傑作とされる「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」をオマージュした映画で、
アニメファンからは散々な評判を受けてしまったが、私は十分に楽しめた。

その映画で主役を演じたのが、小川紗良さんである。
小川さんは、期待の若手女優であり、かつ映画監督でもある。
本作「海辺の金魚」を観ようと思ったのも、
「ビューティフルドリーマーのあの娘が撮った」
ことに関心が湧いたからである。
果たして、監督としての才能もあるのだろうか。

小川紗良さんは脚本と編集も担っており、まさに小川さんの映画である。
身寄りのない子供たちが過ごす施設にいる人々の葛藤や心の成長を描く、という設定も野心的。
子どもたちの自然な演技に好感が持てたし、
語り口も丁寧。
長編デビューにして、なかなかの作品と思えた。
途中までは。
しかし、極端に説明不足な展開があったり、
ラストもやや唐突だったり。
商業映画として観たとき、これはどうだろう。
少し違うのではないかと感じた。

近年、女性映画監督の活躍が目立っている。
映画界は常に新しい才能を求めているから、
小川さんのように、若く、女優さんでもある方が映画を撮られるのは歓迎である。
しかし、映画を作ってしまえば、若かろうが女優だろうが、一つの作品として評価される。
そうして観たとき、いい作品だった、と振り返れる段階にはまだ及ばないと感じた。

「海辺の金魚」には、魅かれるところもある。
主演の小川未祐さん(たまたま監督と名字が同じ)も好演されている。
ただ、あと二押し。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事