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経済学の力でコロナをなんとかできないか [ヨモヤ]

経済学は「陰気な科学」と呼ばれることがある。
この言葉の意味や解釈はいろいろあるようだが、
なんとなく言わんとしていることは伝わってくる。

一方、近年隆盛となっている行動経済学は、
経済学的識見を用いて現実を動かそうとするものであり、
従来型の経済学とはやや趣が異なるように思える。
であれば、なんとかこの力を使って、コロナ対策をうまく進められないだろうか。

群馬県は、若年層への新型コロナウイルスワクチンの接種促進のため、
2回の接種を完了した20~30代の県民に対し、抽選で車や旅行券をプレゼントすると発表した。
抽選で当たる車は、スバルから寄付された「SUBARU XV」というものらしい。
このほか、県内で使える旅行券5万円分を100人、2万円分を250人に贈呈するという。

背景として挙げられるのは、このところ爆発的に増えている感染者の多くが若者であるということ。
群馬県によれば、
直近1週間の感染者は20~30代が46%を占めているという。
この政策について山本知事は
「県議会でも『モノで釣るのか』という議論もあった」
としつつ、海外の事例も引きながら、
「20~30代にアピールして、接種率を上げる方法として議論した中で出てきた。
金銭的なメリットがあるのが最も有効だと分析している」
と説明された。

行動経済学は、人が行動を起こす理由などを科学的に分析する学問である。
どうすれば人が動くのかを、経済学の力で解明しようとする。
そして人を動かすためには、インセンティブをどう使うかがポイントとなる。
インセンティブとしては、お金というものが真っ先に頭に浮かぶし、
実際有効に機能することも多い。
ただし、行動経済学は、お金が常に有効というわけではないとする。
さて、群馬県の政策は功を奏するだろうか。

ワクチンだけではなく、
コロナ対策として、
例えば歓迎すべきではないとされる行為をどうすれば抑えられるか、
という点にも行動経済学の知見を活用したいものである。
コロナに対しては、医学や薬学が前面で戦っているが、
経済学にも出番はあるはずだ。
すでに、「そっと後押しする」という意味の、ナッジを使った取り組みも進んでいるものの、
さらにできることはあるように思う。
「陰気な科学」というあまりありがたくない異名から抜け出る機会かもしれない。

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