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張本さんの騒動を機会に 多様性について考えてみる [ヨモヤ]

「サンデーモーニング」という番組がある。
日曜朝の情報番組で、常に高視聴率をマークしている。
私は、魂の平穏を乱されたくないので、近寄らないように努めている。

ただ、スポーツコーナーは、たまに見ることがある。
そこでは張本さんをはじめとするスポーツコメンテーター的な方が、
一週間のスポーツ選手の活躍について「喝」とか「あっぱれ」とかいった声をかけていく。
張本さんのやや時代錯誤的な発言はしょっちゅう話題となるのだが、
責任ある立場の方でもないので、これまでは流されてきた。

しかし、今回はちょっと波紋が大きくなっている。
取りざたされているのは、女子ボクシングで金メダルを獲得した入江聖奈選手への次の発言。

「女性でも殴り合い、好きな人がいるんだね。
見ててどうするのかな。
嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合ってね。
こんな競技、好きな人がいるんだ。
それにしても金だから、あっぱれあげてください」

この発言について、日本ボクシング連盟の内田会長(ちなみに前の会長は山根さん)からTBSの社長あてに抗議文が届いたのである。
抗議文の概要は以下のとおりである。

・【女性及びボクシング競技を蔑視した】と思わせる発言があったので、この文書を送ること
・ボクシングは、技術・戦略・戦術を駆使する競技で、殴り合いではないこと
・当連盟は、競技を通じて、健全な心身の育成や競技者の豊かな人生を目指していること
・安全面に関しても十分配慮しており、女子競技に関しては、男子競技以上に安全面に配慮しながら実施されていること
・女性だからそんな競技に取り組むべきではないという、多様性を否定するような番組内での発言を、視聴者に対して、訂正していただきたいこと

私は格闘技が好きであり、これから女子格闘技、いわゆるジョシカクがぐんぐん来るのではないかと思っている。
今回のオリンピックでも、オール寝技で優勝した柔道の濱田尚里さんが、全メダリストの中でも特に印象に残っている。
だから、張本さんの言葉には首をかしげざるを得ない。
しかし、「取り消すべき」「訂正すべき」とは思わない。
一個人の言葉を、意見が自分と違うからと、なきものにしようとは思わない。

愛する競技を揶揄された格好の、ボクシング連盟の皆さんのお腹立ちも理解できる。
一方、「多様性の否定は許されないから発言を訂正しろ」となると、
女子ボクシングはあまりピンと来ないという多様性は認めないということになってしまう。

多様性については、今回のことだけではなく、
自分たちの意見を否定されたと考える方が、反対意見をとことん封殺しようとすることがよく見られる。
自分たちと価値観の異なる方の意見は一切認めないということでは、
多様性云々の訴えが全く説得力を失くしてしまう。

正直、今回のことはそれほど大騒ぎするようなことではないのだろうと思う。
ただ、これに限らず、多様性については「おや?」と感じることが多い。

自分と意見が違っても、
自分を否定されても、
それはそれで一つの意見であり、それ自体が多様性である。
そこは忘れないようにしたい。

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