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映画評 「サマーフィルムにのって」 [映画評]

夏。
青春。
恋。
バカ騒ぎ。
全力疾走。
出会いと旅立ち。

夏休みには、そんな要素ががっつり入った映画が公開されてほしい。
若さだけで突っ走る感じ。
去年は、「君が世界のはじまり」がその役割を果たしてくれたが、今年は本作だろうか。
コロナ禍で撮影も難しいし、
学校内で大騒ぎするシーンもどこか空々しく感じられなくもないが、
こういう映画は絶対に必要。

本作は、無理な設定を強引に走り切る感じで、ツッコミどころは満載。
余計な設定、
不要に思える登場人物など、
残念な要素は一つや二つではなく、ダメだこりゃと降りてしまう人も多いだろう。
幸いなことに、私は最後まで楽しめた。
夏、青春、恋、映画作り。
無理が通るシチュエーションである。

この頃、映画作りの様子を描く作品が多いように思う。
ここ1~2年だけでも、
「SHIROBAKO」「ビューティフルドリーマー」「キネマの神様」「映画大好きポンポさん」
などが頭に浮かぶ。
映画ファンとしては、映画作りの様子を映画にされるとどうにも魅かれてしまうから、
あざといと言えばあざとい。
ここに挙げた4作でも、「キネマの神様」以外では心を動かされた。
一般に受けるかどうかというと別物ではあるが。

本作は、高校生が文化祭に向けて映画を作るという設定。
それだけで盛り上がること請け合いだが、
時代劇、
タイムトラベル、
といった要素も絡み、
ワイワイ感が増している。
それが成功しているかというと、
タイムトラベルの方は特に微妙だが、
それが無くては本作にはならない。
ナイストライ、ということだろうか。
ラストシーンにも賛否はあると思うが、ハチャメチャ感が増したのはよかった。

主演は、元乃木坂46の伊藤万理華さん。
失礼ながら、はじめてお見受けした。
そういう設定のため、そういう風にしているのだろうが、
主演であるに関わらず見た目は大変控えめで、リアリティを増させていた。
共演に金子大地くん。
「殺さない彼と死なない彼女」「君が世界のはじまり」と、私の琴線に触れる映画に次々出演されている。
監督・脚本を務める松本壮史さんは1988年生まれの若手。
これからも、キラキラした映画を作ってほしい。

「サマーフィルムにのって」は、夏に観るにふさわしい青春映画。
傑作と呼べる域には遠く及ばないし、
感動作でもない。
心に残るという作品でもない。
なのだが、「観てよかった」とすがすがしい気持ちになれた。
遠出もできないし、
ワーワー騒ぐこともできない夏。
この映画で青春の1ページを飾るのも悪くない。

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