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今年も楽しみ 第4回ところざわ学生映画祭 [映画評]

来る11月25日(日)、ワルツホール所沢にて、第4回ところざわ学生映画祭が開催される。
毎年楽しみにしているこのイベントが今年も開かれることが、まずもって目出度い。

私は、年間に数十本の映画を観に行くが、残念ながら、多くは困った作品である。
魂がこもっておらず、アイデアもなく、
観終わった瞬間に忘れてしまう。
そんな映画が少なくない。

過去3回のところざわ学生映画祭を観てきたが、
学生さんたちが作る映画は、もちろんプロが作るものと比べて稚拙である。
「なんじゃこりゃ」
という作品もある。
しかし、きっちり胸に届く作品もいくつもある。
30分くらいの短い作品なのに、何年も心に残る作品がある。
今年もそんな作品に出会えることを楽しみにしている。

この機会に、過去3回のグランプリ作品を振り返ってみよう。
さらに気持ちが高まるはずだ。

第1回グランプリ  「帰郷」 川原杏奈監督
第1回のグランプリを獲得したのは女性監督。
映画祭の第1回を飾るにふさわしい傑作であり、大好きな作品である。
約10分の短編であり、姉の結婚式に出席するために帰郷した弟の揺らぎを描いている。
映像もしっかりしていて、とてもよくできた短編小説を読んでいるような心地よさに包まれた。
ラストで弟役の俳優さんが見せる笑顔にきっちりすべてが集約されていて、映画的エクスタシーを感じたことを思い出す。

第2回グランプリ 「upland」 高坂聖太郎監督
男性間の同性愛を描いた作品。
映画として提示することが難しい題材だと思うが、本作は繊細に丁寧に積み上げ、高いハードルを超えて行った。
映像の美しさとともに、
登場人物の優しさ切なさが伝わり、胸にジンと沁みる。
日本人にしか作れない、日本人が作るべき、ゲイの映画であると思った。

第3回グランプリ 「Goblin」 岡倉光輝監督
美しい作品がグランプリを獲った過去2回と打って変わって、第3回は衝撃的な作品が栄誉を獲得した。
いじめがテーマだが、
いじめる方が悪い、
いじめられて可哀そう、
といった描き方ではなく、もっと深い闇を感じる。
Goblinとは、「邪悪な、または悪意をもった精霊」「おふざけが好きで意地の悪い(だが邪悪とは限らない)妖精」「ぞっとするような醜い幽霊」という意味らしいが、この映画の中で誰が本当のGoblinなのか、観る人ごとに違ってくるのではないだろうか。

今年も素敵な作品に出会えることを期待しよう。
そして、この映画祭が長く続くこと、この映画祭から新しい才能が羽ばたいていくことを夢にみよう。

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