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税収増だけでは財政再建は果たせないことははっきりした ~26年ぶりの税収も国家財政はどっぷり赤字~ [公会計]

2017年の国の一般会計の税収が58兆円台後半となったようだ。
この数字は、バブル期直後の1991年度の59.8兆円以来、実に26年ぶりの高水準だという。
極端な増税をしたわけでもないのに税収が増えた。
目出度い話である。
しかし、財政が立ち直ったという話はとんと聞かない。
それはそうだ。
税収がやっと26年前に戻ったとしても、
歳出のレベルはあの頃よりずっと増えているのだから。

ちなみに1991年度に59.8兆円だった税収は、
5年後の1996年に51.9兆円に下がり、
さらに5年後の2001年には47.9兆円と、
10年間で10兆円以上も下がっている。
さらにリーマンショック後の2009年には38.7兆円とバブル崩壊後最低の水準にまで落ち込んだ。
そこから景気回復に伴い税収が増えてきた。
つまり2009年度と比べると2017年度は、実に20兆円も税収が増えたことになる。
そして、20兆円増えたにもかかわらず、赤字国債頼みの財政運営には変化がない。

法人税率を下げることによって、税収が上がるのか下がるのか、という議論がある。
普通は税率を下げれば税収も下がるに決まっているが、企業活動が活発化することによって、結果的に税収は増えるという論者もいるのである。
ただ、今の日本の財政を見ると、これによって税収が上がろうが下がろうが、財政再建にはあまり関係がないということになってしまう。
歳出側の構造をしっかり見直さない限り、せっかくの税収増のチャンスも活かせない。

来年10月から消費増税が予定されている。
これにより、税収が増えることが期待されるが、歳出構造の改革にはほとんど手が付けられていないように見える。
よく言われることだが、バケツの底が抜けていては、どれだけ水を入れても貯まらない。
景気が回復しているこの時期に、本来であれば貯えておかなければいけなかったのだが。
多くの国で、そのように財政運営をしているのだが。

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