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観光地に必要なものとは  ~ トイレもWifiもなくても集まるところには集まる ~ [ヨモヤ]

外国人の方に来てもらおうとするとき、環境整備に努められる地域がある。
トイレをしっかり整備して、
駅にも街中にもWifiをめぐらせて、
案内板も多国語にして、
といった感じである。

観光庁が実施した
「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート」
によると、訪日外国人観光客が感じる訪日旅行で困ったことの上位は以下のようだったらしい。
第1位 「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」
第2位 「無料公衆無線LAN環境」
第3位 「多言語表示の少なさ・わかりにくさ(観光案内板・地図等)」
これを見て、なるほど、多言語化だWifiだとなるのだろうか。

しかし、このアンケートに答えている人たちは、すでに日本に来ている人たちである。
つまり、
「多言語化されていないし、Wifiも整備されていないから日本には行かない」
と言っているのではなく、
「日本に来たくて来たが、困った点を挙げろと言われたらこんなところか」
ということを答えているのである。
例えて言えば、結婚した旦那の不満な点を挙げているようなものか。

さて、イタリアのローマと言えば、世界に名だたる観光地である。
パリやロンドンに並ぶ存在と言っていいだろう。
そのローマの環境と言えば、
Wifiは不十分、
地下鉄は汚い、
公衆トイレはほとんどないうえに、あっても有料で不潔、
狭い道路を駐車車両がふさいでいる、
車いすや体の不自由な人に全くやさしくない段差だらけの道路、
と、万全とはほど遠い。
それでも観光客は世界中から集まってくる。
当たり前のことだが、
Wifiがあるから、
言葉が通じるから、
トイレがきれいだから、
といったことは、旅行先を選ぶ第一基準にはほとんどならないのだ。
それを望むなら、自宅で十分である。

そもそも、困ることがない旅行は楽しいのだろうか。
むしろ、困るために行くのではないか、などと思ってしまう。

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