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もっと盛り上がっていい女子格闘技  ~ RENAが負けたのは複雑も いい試合だった ~ [ヨモヤ]

世界では、とっくの昔に女子格闘技ブームが来ている。
牽引者となったリンダ・ラウジーは、
2015年に、スポーツ界のアカデミー賞といわれるESPY賞で、最優秀女子選手賞を2年連続で受賞したほか、
メイウェザー・ジュニアやゴロフキンらの男子ファイターを抑えて最優秀ファイター賞も受賞した。
総合格闘家の最優秀ファイター賞受賞は男女を通じて史上初の受賞者だった。
経済誌フォーブスの2016年版「世界女子スポーツ選手長者番付」でラウジーは年収1400万ドル(約15億円)で3位にランクイン。
「タイム」誌の「世界を変える30歳以下の人物30人」、
経済紙「フォーチュン」の「40歳以下の最も有力な40人」の1人にも選出された。

ラウジーのバックボーンは、北京オリンピックで銅メダルを獲得した柔道。
ならば、女子の柔道・レスリング大国の日本にも、十分な潜在力があるはずだ。
ブレイクに必要なのは、世界を切り拓くスーパースターの存在とちょっとした幸運だろう。

PRIDEやK-1が引っ張った日本の格闘技ブームが終わりを告げ、ここ数年はRIZINが新たなムーブメントを起こそうと努めている。
ネームバリューのあるベテラン勢に頼り過ぎたカード編成や、
方向性のはっきりしないルールなど、
いろいろ課題が多いとは思うが、女子格闘技、いわゆるジョシカクに力を入れているのは正しい方向性だと思う。

ジョシカクを、そしてRIZINを引っ張ってきたのはRENAだと思うが、彼女のためのトーナメントだと思えた女子スーパーアトム級トーナメントで、昨年の大晦日、赤倉カンナに衝撃的な失神負けを喫してしまった。
意外性があることは、ブームが盛り上がるために必要な要素ではあるが、スターを失うのは辛い。
RENAと浅倉の再戦は当然組まれるべき試合ではあったが、RENAが再度負けてしまった場合のフォローが難しいため、実現には少し時間が必要である気もした。

二人の再戦は、初戦以上の好ファイトだった。
手に汗握る攻防だった。
そして、総合のルールでは、浅倉が一枚上だということもはっきりした。

勝った負けた以上に重要だったことは、この試合がメインに組まれ、生放送されたことだろう。
試合前、RENAはこんなことを語っている。
「昔からの夢だった、女子格闘技がテレビで生放送されて、しかも日本人同士で戦うことになり、たくさんの方々のおかげで私の夢がかない、たくさんの方の夢がかなうことに感謝します」
ジョシカクを引っ張ってきた、RENAらしい言葉である。

そして、試合後、浅倉はこんなことを話している。
「RENAさんは憧れの選手だけど超えなきゃいけない存在だった。今回の試合は複雑だったけど、もっと上の選手とやり合えるようにしたい」
浅倉は、すでに先を見据えている。
「もっと上の選手」という表現を使い、世界に打って出る覚悟を示した。

「女子にしてはすごい」
と言われた時代から、
「女子の方が面白い」
と言われる時代へ。
ジョシカクはまだこれからである。

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