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民間委員さん頑張って 「新しい資本主義実現会議」 [ヨモヤ]

岸田政権下、鳴り物入りで始まった「新しい資本主義」の模索。
そのエンジン役となるであろう「新しい資本主義実現会議」から緊急提言が出された。
資本主義を新しいものにしよう、という途方もなく壮大な試みにかかわらず、
2回目の会議で早くも提言。
ちょっと心配になる。

緊急提言の内容も、あらららら。
提言中、「Ⅰ.新しい資本主義の起動に向けた考え方」の一部を抜粋するとこんな感じ。

「具体的には、1980年代以降、短期の株主価値重視の傾向が強まり、中間層の伸び悩みや格差の拡大、下請け企業へのしわ寄せ、自然環境等への悪影響が生じていることを踏まえて、政府、民間企業、大学等、地域社会、国民・生活者がそれぞれの役割を果たしながら、格差の是正を図りつつ、民間企業が長期的な視点に立って「三方良し」の経営を行うことで、現場で働く従業員や下請け企業も含めて、広く関係者の幸せにつながる、長期的に持続可能な資本主義を構築していく必要がある。」

一文の長さは、概ね60字程度が適切と言われることが多いように思う。
100字になるとかなり長い。
しかし、上に掲げた文章はなんと220字!
書いた方も、これを読んだ上司の方も、民間委員の方も、
長いなあ、とか、わかりにくいなあ、とか感じられなかったのだろうか。
文意も非常にとらえにくいし、
書かれている内容に説得力が高いとも思いにくい。

抜粋を続けると、いい意味ではなく圧巻なのはこの段落。

「さらに、成長と分配を同時に実現するためには、幼児教育・保育や小中学校から企業内まで、「人」への投資を強化する必要がある。多様性(ダイバーシティ)と包摂性(インクルージョン)を尊重し、女性や若者、非正規の方、地方を含めて、国民全員が参加・活躍できる社会を創り、一人一人が付加価値を生み出す環境を整備する必要がある。また、リカレント教育やセーフティーネットの整備を通じて、やり直しのできる社会、誰一人として取り残さない社会を実現する必要がある。働く人の評価や処遇を成果に基づき行う慣行を定着させる必要がある。」

私が接続詞を削ってしまったのではなく、これが提言そのまま。
4つの文章で構成されているのだが、ブツ切れであり、
すべての文章が「必要がある」で締められている。
え、大丈夫?
つぎはぎ感が半端なく、気持ちの入ってなさも感じられてしまう。

緊急提言は、すでに出てしまったので、これはもうこれとして、
大切なのはこれからと考えよう。
ここは「新しい資本主義実現会議」の民間委員の皆さんの頑張りに期待したい。
皆さんお忙しい中であり、ここに力を注げる方はおられないのかもしれないが、
なんと言っても「新しい資本主義」を見出そうとする場である。
是非とも役所の案を、「まあ、しょうがないか」と追認するような場にはしないでいただきたい。
何せ冠は、
「新しい資本主義実現会議」
という本当に壮大なものなのだから。

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映画評 「そして、バトンは渡された」 [映画評]

原作は、2019年に本屋大賞を受賞した瀬尾まいこさんの同名小説。
瀬尾さんの作品は本作を含めて何冊か読んだのだが、
私と相性がよく、どの本もすっと入り込むことができ、本作も胸にしみた。

私は、原作と映画は別物と理解しているつもりである。
いろいろな作品(漫画やら小説やらゲームやら)の映画化に際し、
原作ファンが嫌悪に近い感情を表明されることがあるが、
別物と考えて、受け入れる派である。
本作も、原作とは大きく変わっていて、しかも根幹にかかわる部分だった感もあるが、
別物と考えれば、受け入れられる。
というか、そうするしかない。

ただ、ちょっと勘弁してほしいと思ったのは映画の宣伝文句、こんな感じである。
「この感動は、一生忘れない。」
「あなたはきっと、もう一度見て、もっと泣く。」。
邦画は選り好みせず観ようと思っている私はどうせ観るから関係ないのだが、
こんなに押し付けられると、観ようかどうか迷っている人からすればかえって白けてしまうのではないかと心配になる。

この親があってこの子あり、というが、
この宣伝文句があってこの映画あり、という感じ。
いい映画を届ける、というより、とにかく泣かせたら勝ち、みたいな価値観。
映画作りには向いていない。

映画ファンとしては、原作ファンの皆さんにも劇場に足を運んでいただきたいが、
原作とは別物であることは十分に覚悟しておいてもらいたい。
原作の大切な部分が失われていても、別物なのだからと理解してもらいたい。
ただ、「バトン」が見えなかった・感じられなかったのは残念だった。

主演は永野芽郁さん。
お父さん役に田中圭さん、お母さん役に石原さとみさん。
役者さんがどうというより、お母さんが飛ばし過ぎ。

メガホンは、前田哲監督。
前田監督作品は、全く同じタイミングで「老後の資金がありません!」も公開されている。
コロナの影響か何かでたまたま同じ時期の公開になったのかもしれないが、
いかがなものであろうか。
「老後」も「バトン」もわかりやすい演出ではあったが、残念ながら私には刺さらず。
以前撮られた「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」はよかったのだが。

「そして、バトンは渡された」は、もったいない作品。
いい原作の映画化なのに、活かしきれているとは思えなかった。
この原作の映画化は本作以外では永遠になされないだろうと考えると、本当にもったいない。

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77mプロジェクト オフの間にやっておくべきこと [60歳が近づく腰痛持ち 遠投77mプロジェクト]

東京オリンピック・パラリンピックの2021年に、全く個人的な企画として取り組んだ
「55歳過ぎ腰痛持ち 遠投77mプロジェクト」。
60mまではすんなり伸びたが、そこから先は簡単ではなく。
天候や体調と相談して、「泣きの一年」として目標年次を先送りした。
北京オリンピック・カタールワールドカップの2022年での達成を目指す。

今年は、暖かくなる3月くらいから投げ始め、
5月に40m、6月に50m、7月に60mと徐々に伸ばしていく予定で進めた。
計画どおり肩はできていったが、投げ込むまでには至らなかった。
何が足りなかったか。
もちろん、なんもかんも足りないのだが、
根本的に筋力が足りなかった。

来年も暖かくなってから投げ始める予定なので、半年ほどオフシーズンとなる。
去年はキ冬の間はのほほんと過ごしてしまったが、
今年はやらないといかんかと。

遠投には足腰の強さも必要だと思うが、腰痛持ちであるがゆえに、そちらの強化はちと難しい。
走り込みなどとんでもない。
だからせめて、上半身を鍛えようと思う。
主に背筋、胸筋、腹筋など。
気を付けないと、こうした運動でもてきめんに腰に来るので、
無理をしないように気を付けつつ、コツコツ積み重ねていこう。

さて、
新庄剛志さんが日本ハムの監督(ビッグボス)に就任され、記者会見が行われた。
監督就任会見としては、前代未聞の派手なものだった。

私の77mプロジェクトのきっかけも実は新庄さんである。
現役復帰を目指すと宣言された新庄さんのトレーニング開始時の初投げが、
77mだったので、これにあやかったのである。
その意味では、新庄監督の初年度である2022年に77mを目指すのは、
何かの縁(何の?)である気がしなくもない。

新庄さんに刺激をいただきながら、来年こそは、と思っている。

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ダウ最高値 ナスダック10連騰 アメリカ株が止まらない [経済を眺める楽しみ]

アメリカ株の上昇が止まらない。
ダウは史上最高値、
ナスダックは10営業日続伸。
去年の春先にコロナショックで急落して以降、ほぼ一本調子の上昇が続いている。
ダウで言うと、
20,000ドルを割っていたのが今や36,000ドル超である。

直近の上昇理由は、
・FOMCの発表が安心感を生んだこと
・雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を上回る強い結果となったこと
・ファイザーの治療薬がコロナウイルスの重症化リスクを低減させるというニュースが伝わったこと
などが挙げられている。
確かにそうした要素もあるのだろうが、それ以上に、
市場全体が長期的な経済の見通しに強気になっていることが要因であるように感じられる。
そこが、日本株との根本的な違いだろうか。

アメリカファーストを公言していたトランプ前大統領と比べ、
現在のバイデン大統領がそれほど経済に配慮しているようにはうかがえない。
むしろ法人税や富裕層への増税など、市場が嫌がりそうな政策を打ち出している。
それでいて、株価は上がり続けているのである。

それにしても、騰がり過ぎだと思うのだが、
アメリカ株については、リーマンショックでの暴落から立ち直って以降、
ずっとそんな状況である。
騰がり過ぎ、騰がり過ぎ、と思っているうちに、
さらに騰がっていく。

さすがに年内は無理だろうが、来年の早い時期にダウは40,000ドルを突破しそうな勢いである。
アメリカ経済が好調なのは世界経済にとっていいことであり、
もちろん日本経済にとってもいいことで、日本株にもいいことである。
アメリカ株の上昇を眺めていると、日本株と差が開き続けることに複雑な思いにもさせられるのだが、
素直に喜ぼう。
株が下がっていいことなんかないのだから。

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映画評 「老後の資金がありません!」 [映画評]

お金をテーマにしたコメディ。
コメディである以上、笑えるかどうかが映画を評価するうえでの大きなポイントになると思うが、
残念ながら私は全く笑えなかった。
ただ、劇場に来られていた私より人生の先輩の皆さんは、あちこちで声を出して笑っておられたので、
人によっては楽しめるのだろう。
「笑点」を観て笑える人なら、本作も大丈夫かもしれない。

タイトルでは「老後の資金」を心配しているが、
映画の内容は目の前にあるお金のこと。
お葬式やら結婚式やらで急なお金が必要になり、
よりによってそんなときに夫婦もろとも仕事を失ってしまっててんやわんやというお話。
お金の話なので、誰でもリアルに受け取れる内容であるが、
コメディであるだけに、深刻にではなくわちゃわちゃと描かれる。

こうした映画の場合、主演俳優に成否がかかってくるが、
天海祐希さんは貫禄のコメディエンヌぶりを発揮され、映画を成立させていた。
夫役の松重豊さんもリラックスして演じておられ、安心して観ることができる。
しゅうとめ役の草笛光子さんがすごい。
結構ドタバタした役なのだが、現在88歳というご年齢でこれをこなされているのにはおみそれするしかない。

観終わって、
「あ~、面白かった」
となったかというと、そんなことはなかった。
笑えた笑えなかったということではなく、映画としての満足度の問題として。
オチというか、まとめ方もわかりやすい予定調和。

劇場を出た瞬間から、映画の内容をどんどん忘れていく。
さらっと観られるコメディ映画であり、それでいいと言えばそうなのだが、
刻まれるものがあまりにも希薄で、なんだかもったいないなと感じた。
もっとなんとか、こう。

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「こんな記者会見があったらいいな」を現実にしたビッグボス新庄剛志さん [ヨモヤ]

日本ハムの監督には、栗山さんの次は稲葉さんがなるのが既定路線だと、多くのプロ野球ファンが思っていた。
稲葉さんは日本ハムのOBであり、侍ジャパンを東京五輪で優勝に導いたという金看板も持っている。
誰にも文句のない人選である。
それが突然、「新庄監督就任」という報道が出た。
(新庄さんは、「監督」ではなく「ビッグボス」と呼んでほしいとのことだが)
正直、まさか、と思った。
新庄さんが管理職というのが今一つピンと来なかったし、ブランクもあったからである。

しかし、4日に行われた記者会見を見て、とんでもなく期待は高まった。
何やら面白いことが起きそうだ。

世界中でいろいろな記者会見が行われているが、大抵面白くない。
誰でも言うようなことをぼそぼそ言うばかりで、ちっとも沸き立たない。
アマチュアならまあいいが、客を呼んでなんぼのプロがそれでいいものかと、いつも思っていた。
だが、新庄さんの記者会見は違った。
痛快極まりない。

笑いどころ満載で、次々にサプライズ発言があり、ワクワク感が止まらない。
それでいて、先達の監督やGMへの敬意も忘れていない。

近年、日本ハムは低迷している。
戦力を冷静に分析すると、来年も厳しそうだ。
しかし、今年のプロ野球は、両リーグとも前年最下位からの大逆転だった。
とすれば、5位の日本ハムが優勝争いに加わっても不思議ではない。
もし優勝争いができなくても、ビッグボスなら楽しい野球が展開されそうだ。

日本シリーズが終わると、プロ野球はオフシーズンとなり、話題も乏しくなる。
だが、今年は違う。
オフシーズンも、キャンプも、オープン戦も、
新庄ビッグボスが視線を独り占めにしそうである。

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映画評 「アイの歌声を聴かせて」 [映画評]

本作の公式HPの宣伝文句には、
「ポンコツ“AI”とクラスメイトが織りなす、爽やかな友情と絆に包まれたエンターテインメントフィルムが誕生!」
と書かれている。
映画の内容は、これで大体言い切られている。
わかりやすく、すいすい進むアニメ作品である。

ただし、設定やごく簡単な辻褄からして、ツッコミどころは満載。
生真面目に観ると、「なんじゃこれ?」とドン引きになる。

しかし、勢いがある。
突っ走っている感がある。
だからといって、そもそもの段階で生じている問題を解消できるわけではないが、
こんなにあっけらかんと元気なら、笑って受け流すべきなのかもしれない、という気になってくる。

恋愛や友情といった青春映画の定番のテーマを下敷きに、
AIと人間の心のつながりが描かれる。
きれいごとに過ぎる、とわかっているが、心動かされるものがあった。
観ながら、
細田監督が撮ったのが「竜とそばかすの姫」ではなく、
こちらだったらどうだっただろうとか、余計なことも考えた。
そうだったらよかったのに、など勝手な思いを抱いた。
当事者にとっては余計なお世話であろうけれど。

土屋太鳳さん、福原遥さん、工藤阿須加さんといった若手俳優の方々が声をあてておられる。
はつらつさとした声で、違和感は覚えなかった。

わかりやすいものの雑な設定、
はっちゃけながらもステレオタイプな展開、
ありがちな人物描写、
など、もうちょっとなんとか、と思える面も少なくないが、
トータルとして結構楽しんでいる自分に気づく。
能天気と言いたくなるくらいの楽天さが胸に届く。
楽しく2時間が過ごせた。

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今回の選挙で最も衝撃的だった公約 [ヨモヤ]

衆議院議員選挙が終わった。
事前予想では、
自民は単独過半数を何とか確保できるレベルに議席を減らす
立憲は10議席くらい上積み
公明、共産はほぼ横ばい
維新は大幅増
という見方が大勢だった。
結果は、
自民は単独で絶対安定多数を確保し、
立憲はプラスどころか10議席以上のマイナス、
維新は4倍増、
となった。

この頃は、出口調査も徹底的にやっているので、予想の精度がかなり上がっているように感じていたが、
ほとんどのマスコミが大きく外した。

さて、今回の選挙で、個人的に最も衝撃を受けた公約は、
立憲民主党が出された
「年収1000万円程度までの所得税ゼロ」
というものであった。
与党も含め、分配競争になった感のある今回の選挙だが、この公約は破格であったと思う。

立憲民主党のホームページを見ると、
「コロナ禍の影響で家計が苦しい世帯に対する即効性のある支援として、個人の年収1000万円程度まで実質免除となる時限的な所得税減税と、低所得者への年額12万円の現金給付を行います」
とあった。
給付金についてはいろいろな政党が訴えていたし、
消費税の減税を主張していたところも多かった。
しかし、これは独創的というか独走的というか。

ちなみに、個人の年収が1,000万円を超える人は全体の5%くらいらしい。
つまり、この公約は、国民の95%の方から所得税を取らないと言っていたことになる。
また、世帯の平均年収は550万円くらいであるので、
「コロナ禍の影響で家計が苦しい世帯に対する即効性のある支援」とされているなか、
年収が1,000万円ある方について「家計が苦しい」と見なすことがうまく理解ができなかった。

こうした公約を、ベンチャー的な小政党が掲げられるのならそれほどの驚きはないが、
第二党であり、大政党といっていいところから出されたことも衝撃だった。

今回の選挙においては、与党以外の政党は、ほぼすべてと言っていいくらい、減税を訴えていた。
それが有権者に求められているとお考えになったのだろう。
しかし、選挙結果は必ずしもそうではないと示している。

すぐ来年に参議院議員選挙がある。
是非、各政党にはワクワクできる公約を打ち出していただきたい。
喜んで票を入れたいと思える約束を示していただきたい。
懲りずに信じて待っている。

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映画評 「ひらいて」 ~奇跡的に誕生した きらめきに溢れた作品~ [映画評]

映画には、いろいろな思いが込められていてほしい。
ビジネスとして成り立たせなければならないので、
やりたくないことをやらなければならなかったり、
やるべきことをやらなかったり、
といったことも避けられないとは思うが、
そもそもの出発点は作り手の気持ちであってほしい。

その点、この映画を撮った首藤凛監督(脚本も)さんには、
ありあまるほどのモチベーションがある。
なにしろ首藤監督のツイッターにはこう書かれている。
「綿矢りささんの『ひらいて』を初めて読んだ17歳の冬から、この映画を撮るために生きてきました」

映画に携わりたいと思ったきっかけがこの小説だというのだから、
人生の目的が本作の映画化にあったというのだから、
思い入れはとんでもない。
彼女にとって、商業公開される最初の長編が本作ということだが、
まさに夢がかなったと言ってもいいだろう。

思い入れ、というのは往々にして空回りしてしまうものだが、
この作品では、見事に結実している。
監督のあふれる思いに応え、若手の俳優さんたちが見事にはまった。

主人公は、皆がうらやむ存在として描かれる女子高生。
しかし、彼女は満たされているわけではなく、欲しいものはどんな手を使ってでも手に入れようとする。
主人公なのに振る舞いはまさに悪役であり、観ている側はその行動にイライラさせられる。
その意味では、不快な時間が過ぎていくのだが、登場人物に感情移入できている証拠とも言える。

主人公に対するのは、真逆の性格の男女。
二人はすべてを受け入れているように見える。
傍若無人な主人公に振り回されるのだが、やられっぱなしではなく、ピシッと言うことは言う。
そのシーンは、力道山の空手チョップ的な快感がある。
しかし、「ひらいて」はいない。
誰がいつ、どんな形で「ひらいて」いくのか。
びっくりさせられるシーンもある。

難しい主人公を演じられたのは、山田杏奈さん。
「ジオラマボーイ・パノラマガール」でも印象的な演技を披露されたが、本作ではさらに鮮烈。
突飛な主人公の行動については、山田さん自体「理解しがたい」との感想を持たれたそうだが、
見事に咀嚼されて、これしかないという像を描かれた。
主人公に翻弄される病弱な、しかし芯の強い女の子を芋生悠さんが演じる。
透明感の強い役柄が芋生さんにぴったりだった。
二人に思われる男子生徒にジャニーズの作間龍斗さん。
いいキャスティングだったと思う。

「ルパンの娘」やら「CUBE」やらを観た後だったこともあり、本作のまっすぐさが胸に響いた。
この映画が作られたこと自体が一つの奇跡であり、
その奇跡に観客として立ち会えたことが光栄であった。
まっすぐ過ぎてちょっとしんどい感もなくはなく、誰もが楽しめる映画ではないかもしれないが、
なんとか大勢の人にご覧いただきたい。
今年の秋はこの一本、と言いたくなる、きらめきに満ちた作品である。

いつか首藤凛監督には、
ある小説を読んで衝撃を受けた女子高生が、その小説を映画にすることを人生の目標にし、
悪戦苦闘しながら夢の実現に進んでいく、
という映画を作っていただきたい。
観たいから。

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ここのところで読んだ30冊 [読書記録]

選挙の日ではあるものの、選挙情報はそこら中にあるので、毎月書いている「ここのところで読んだ30冊」を。
こうして並べてみると、紹介したいと思える本が多かった印象である。

「もうモノは売らない」 ハビエル・サンチェス・ラメラス
「オルゴール」 中園 直樹
「憂鬱でなければ、仕事じゃない」 見城 徹、藤田 晋
「頼れるケアマネ 問題なケアマネ」 相沢 光一
「部下を動かす心理学」 渋谷 昌三
「クルマを捨ててこそ地方は蘇える」 藤井 聡
「できる研究者の論文生産術」 ポール・J・シルヴィア
「崩壊」 長谷川 煕
「大人のスピード仕事術」 中谷 彰宏
「デザインが日本を変える」 前田 育男
「堕ちたバンカー」 児玉 博
「すべては一杯のコーヒーから」 松田 公太
「経験なき経済危機」 野口 悠紀雄
「きみのまちに未来はあるか?」 除本 理史、佐無田 光
「十六歳のモーツアルト」 小倉 孝保
「少年たちの贖罪」 青島 多津子
「もう一つのバルス」 木原 浩勝
「経済学的にありえない」 佐々木 一寿
「子どものまちのつくり方」 泉 房穂
「ミャンマー権力闘争」 藤川 大樹、大橋 洋一郎
「シンプルに考える」 森川 亮
「欲しがらない若者たち」 山岡 拓
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」 ブレイディみかこ
「ワセダ三畳青春期」 高野 秀行
「新型コロナの大誤解」 西村 秀一
「よくわかる思考実験」 高坂 庵行
「ニッポンが流山になる日」 井崎 義浩
「キャッシュレス決済がしっかりわかる教科書」
「人口回復」 岩田 一政
「いまこそ税と社会保障の話をしよう」 井手 英策
「向田邦子の遺言」 向田 和子

小倉孝保さんの「十六歳のモーツアルト」は、十六歳で亡くなられた加藤旭さんの生涯を描いたノンフィクション。3歳ごろから作曲を始めたという天才だった。綿密な取材により積み上げられた筆致が胸に迫る。
 
「いまこそ税と社会保障の話をしよう」を書かれた井手英策さんは、野党寄りの立場におられながら、消費税の必要性を訴えられている。井手教授がおっしゃるような骨太の議論が、総選挙ではさっぱりなされなかったのは残念。

「向田邦子の遺言」を書かれた向田和子さんは、向田邦子さんの妹さん。タイトルは比喩ではなく、本当に遺言についての本で、かえって驚いた。

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