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コロナによる経営危機はむしろこれからか [ヨモヤ]

コロナ禍によって多くの企業が倒産に追い込まれた、
と思っておられる方は少なくないだろう。
未曽有の危機だから、そう感じて当然である。
しかし、実際はそうではない。

東京商工リサーチによれば、
2020年度の全国企業倒産件数(負債額1,000万円以上)は、
1971年度以降の50年間で、4番目に低い水準だったという。
負債総額も3年連続で前年度を下回り、過去50年間で5番目に低い水準であった。
2021年度上半期(4-9月)もその傾向は変わらず、
倒産件数は、最少記録を更新したのだという。

「国は何もしていない」
と批判する方も少なからずおられるが、
少なくとも融資の面では国や自治体による緊急避難的な支援策が行われていて、
それが下支えをする形で、倒産は記録的な低水準を持続しているのである。

この間、多くの企業が活用したのは「ゼロゼロ融資」と呼ばれる仕組みである。
無利子・無担保、つまり両方ゼロなので、この名前がついている。

よく「貸し渋り」などという表現が使われるが、
金融機関とすると、万が一が起きて、貸し付けた額を回収できないという事態を回避するため、
通常の融資では、企業の経営状況を慎重に検討することになる。
結果、企業側の思惑と合致しない場合、借りたい側からすれば「貸し渋り」に映る。
ゼロゼロ融資の場合、
政府が利子を補塡し、万が一の場合に備えて信用保証協会が保証を付けるため、
金融機関は安心して貸し出すことができる。

この融資制度では、最長5年間の据え置き期間が設けられている。
貸し付けを受けてから5年間は、支払いが生じない契約を結ぶことができるということである。
しかし実際には、コロナ禍がこれほど長期化するとは読めなかったこともあり、
全案件のうち半分強が1年後に返済を開始する条件になっている模様だという。
つまり、ゼロゼロ融資の返済がそろそろ始まるのである。

経済が正常化すれば、政府からの給付金の類は打ち切られていく。
融資制度についても、もとに戻る。
それが正しい方向性であるが、生活様式の変化に対応しきれていない企業にとっては、
これからの方が厳しい事態になることが予想される。
新規感染者が非常に少ない数字で推移し、
街にも人が戻りつつある。
しかし、多くの企業にとって、本当の正念場はむしろこれからなのだろう。

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