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映画評 「ボクたちはみんな大人になれなかった」 [映画評]

燃え殻さんの小説が原作。
そちらも読んだのだが、どんな内容だったのかほぼ記憶にない。

何者かになれなかった男の25年を描いているのだが、
何者かになろうとしてあがいている様子が描かれないので、
まあ、そういうもんだよね、
という気持ちになるしかない。
苦しみ、痛みに共感できない。
時系列が行ったり来たりするのも、十分な効果を上げていたとは思えない。

森山未來さんと伊藤沙莉さんが共演。
お二人とも好きな役者さんで、いつもどおり好演されていたと思うが、
二人の関係も意図的ではあるものの尻切れ。
そのことが効果を上げていたとも思えない。

90年代から、いろいろな時代の世相やファッションが描かれるので、
ノスタルジーに浸れる要素はある。
恋人同士の連絡手段も、
文通、固定電話、ポケベル、ガラケー、スマホ、SNS、
と移り変わっていく。
そうだった、そうだった、とは思うけれど、映画的感動があるかというと、そこには至らず。

伊藤沙莉さん演じる女性は、「犬キャラ」というペンネームを使っている。
これは小沢健二さんのファーストアルバム「犬は吠えるがキャラバンは進む」から取ったもの。
劇中でも小沢さんの曲が数々流れる。
小沢さんはセカンドアルバムの「LIFE」で大ブレイクしたが、1枚目と2枚目では曲調が大きく異なっている。
個人的にはどちらも好きだが、よく聴くのは「LIFE」の方。
それでも、「犬キャラ」の曲が数々使われるのは嬉しかった。
映画の評価とは別物だが。

「ボクたちはみんな大人になれなかった」は、森山未來さんの演技が見どころ。
それ以外の見どころは、ええっと・・・。
あんな時代もあったよね、と振り返るにはいいが、それだけでは映画としてはもう一息と言わざるを得ない。

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