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映画評 「恋する寄生虫」 [映画評]

悲惨な過去を抱え苦しみながら生きる若い男女の話。
一人は、ひどい潔癖症により人と接することができず孤独な青年。
もう一人は、視線恐怖症で不登校の女子高生。

のっけから飛ばしてるなあ、と思わせてくれる入り。
二人の症状は半端ではなく、無茶苦茶な振れ幅。
んな奴ア、いないよ、的な。
しかし、こういう飛ばし方は嫌いじゃない、と感じさせてもらいながら映画は進む。
印象的なシーンもはさみながら気持ちは高まるが、
オチがありきたりだったのは残念。
結局、普通の話になってしまった。
最後まで振り切ってもらいたかった。

寄生虫と恋の関係はいかに、
二人の行く末はいかに、
というところなのだが、ううむ、悪い意味で予想どおり。

ところどころスタイリッシュな映像が挟まれ、
破滅のムードが漂いつつ、
心地よい音楽が包む。
雰囲気は、デヴィッド・フィンチャー監督の「ファイトクラブ」に通じるものがある。
ラストシーンもそれに寄せているのだろうか。
ただ、残念ながら衝撃度や完成度ははるかに及ばない。

主演は、林遣都さんと小松菜奈さん。
二人とも、現実離れした極端な役柄を頑張って演じておられた。
それだけに、「ちゃんちゃん」という音が聞こえそうな、
予定調和的な終盤が惜しい。
井浦新さん、石橋凌さんは、シリアスなんだかコミカルなんだか、という演技と役回り。
演出も演技もどちらつかずに感じた。

「恋する寄生虫」は、もう一押しが足りなかった作品。
みんな、その一押しをするために映画に向き合っているのだとは思うが、
本作は届かず。
ただ、わずかに届かず、
というより、かなりの距離が不足していた。
届く可能性はあったのだが。

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