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映画評 「アイの歌声を聴かせて」 [映画評]

本作の公式HPの宣伝文句には、
「ポンコツ“AI”とクラスメイトが織りなす、爽やかな友情と絆に包まれたエンターテインメントフィルムが誕生!」
と書かれている。
映画の内容は、これで大体言い切られている。
わかりやすく、すいすい進むアニメ作品である。

ただし、設定やごく簡単な辻褄からして、ツッコミどころは満載。
生真面目に観ると、「なんじゃこれ?」とドン引きになる。

しかし、勢いがある。
突っ走っている感がある。
だからといって、そもそもの段階で生じている問題を解消できるわけではないが、
こんなにあっけらかんと元気なら、笑って受け流すべきなのかもしれない、という気になってくる。

恋愛や友情といった青春映画の定番のテーマを下敷きに、
AIと人間の心のつながりが描かれる。
きれいごとに過ぎる、とわかっているが、心動かされるものがあった。
観ながら、
細田監督が撮ったのが「竜とそばかすの姫」ではなく、
こちらだったらどうだっただろうとか、余計なことも考えた。
そうだったらよかったのに、など勝手な思いを抱いた。
当事者にとっては余計なお世話であろうけれど。

土屋太鳳さん、福原遥さん、工藤阿須加さんといった若手俳優の方々が声をあてておられる。
はつらつさとした声で、違和感は覚えなかった。

わかりやすいものの雑な設定、
はっちゃけながらもステレオタイプな展開、
ありがちな人物描写、
など、もうちょっとなんとか、と思える面も少なくないが、
トータルとして結構楽しんでいる自分に気づく。
能天気と言いたくなるくらいの楽天さが胸に届く。
楽しく2時間が過ごせた。

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