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悪いところだけを取り上げて過去を断罪する姿勢には共感できない [ヨモヤ]

現在を生きている私たちは、
過去の出来事については、ある意味で神のような立ち位置を持つことができる。
今川義元さんに対して、
桶狭間みたいな地形のとこであんな陣形ひいちゃだめだよ、とか、
織田信長さんに対して、
本能寺に泊まるんなら警護はしっかりとかなきゃ、とか、
なんとでも言える。

このところ、
「資本主義を見直そう」とか、
「新自由主義はもうやめよう」
などといった声をよく聞く。
こうしたことを言っておられる方がどの程度本気なのか、
新自由主義をどういうものととらえておられるのか、
何度聞いてもよくわからないが、
現在の視点で、うまく行っていないと思えるところだけをほじくり返して断罪する姿勢には、
どうにも共感できない。

小泉・竹中流の構造改革路線を全否定する方が少なからずおられるが、
せめて当時の日本の状況を振り返って検証する姿勢は必要だろう。
小泉総理が誕生した2001年当時は、
金融危機が継続しており、決算のたびに3月危機が伝えられる状況だった。
なんらか手を打たないと本当に日本経済が沈没してしまうという危機感は、
今とは比べ物にならないくらい高かった。
だからこその構造改革であり、国民も圧倒的に支持したのである。

アベノミクスがとことんお嫌いな方も大勢おられるが、
こちらも同様に、どういう背景で始まったのかをしっかり押さえておきたい。
第二次安倍内閣がスタートしたのは2012年の12月。
深刻なデフレ状況のもと、東日本大震災の影響が残り、
株価は10,000円を割り込み、失業率は4%を超えていた。
だからこそアベノミクスが市場で熱狂的に迎えられたのであり、国民の信任も得続けたのである。

もちろん、
小泉・竹中路線も、アベノミクスも完璧なものではない。
副作用もあるだろう。
しかし、それらの政策が打ち出された背景や功績は全く顧みず、
世の中の不都合を全部そうした取り組みの責任に帰してしまうのは、
フェアではないし、正しくもないと思う。
歴史に学ぶということは、
過去を断罪することではない。

もっと真摯に、敬意を持って、過去を振り返りたい。

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