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映画評 「劇場版 きのう何食べた?」 [映画評]

よしながふみさんの漫画を原作に、
西島秀俊さんと内野聖陽さんが演じる同性カップルの暮らしを、
日々の食を通じて描くドラマシリーズの劇場版。
私は未見だが、ドラマは多くのファンを惹きつけたらしい。

ドラマの映画化の失敗例は山ほどあるが、そのパターンとしては、
映画化ではしゃぎ過ぎて、無駄に話を大きくしたり、海外に行ったりする、
というものがある。
その点本作は、実にこじんまり。
典型的な失敗パターンの轍は踏んでいない。
おそらく、ドラマの延長線上。

では、楽しめたか、というと、これがなんとも。
何も起こらないのにしみじみいい映画、というのはあるが、
それはガンガン事件を起こして楽しませるより高度な技。
今作がその域に達しているかというと、そうは思えない。
ネットの映画レビューを読むと、ドラマ版を見ていた方々には大好評のようだ。
本作のターゲットはそこなのだろうから、その意味では成功していると言えるが、
映画として観に行くと、「う~む」となってしまう。

西島さんは弁護士を演じておられるのだが、
訴訟の描き方が驚くほど中途半端であったり、
弁護士であるのにつましい生活をしている理由に全く触れられなかったり。
そのほかにも「はて?」と首をかしげていまうところが数々。
せっかく映画にするのなら、映画単体でもきちんと伝わる作品にしていただきたかった。
ドラマファンに向けて置きに行ったような作品で、映画ファンとしては残念至極。

ただし、西島秀俊さんと内野聖陽さんの演技には不満はない。
特に内野さんの演技は素晴らしかった。

「劇場版 きのう何食べた?」は、ドラマファンに向けられた作品。
映画から観に行ってもついていけはするが、楽しむには至らない。
せっかくの映画化、ドラマファンからの集金を目的に作るのはもったいないと思うのだが・・・。

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