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2018年の邦画を個人的に振り返る ~ その2 あれまあ映画編 ~  [映画評]

2018年の邦画を振り返り、その1ではいい映画を選ばせていただいたが、その2ではこりゃまたどうしたことじゃろかいと頭を抱えてしまうような「あれまあ映画」をご紹介する。
※その1はこちら
https://matoko.blog.so-net.ne.jp/2019-01-02

ここに取り上げる「あれまあ映画」の中には、
「いや、俺は面白かった」
「あのよさがわからないとは、観る方がなってない」
などと思われる作品もあるだろう。
そこは見解の相違としてご容赦願いたい。
しかし、「いくら何でも」という作品もないではない。

まずは、「期待を高め過ぎてガッカリ」部門。

筆頭が「曇天に笑う」。
この映画に期待していた人はあまり多くないのかもしれないが、本広克行監督の前作「亜人」が最高だったので、私は勝手に盛り上がってしまった。
しかし、この落差・・・。
前年一番面白い映画を作った監督が次の年ハラホロヒレハレな映画を作ってしまうとは。

次に挙げさせていただくのが、「銀魂2 掟は破るためにこそある」。
1作目は緊張感みなぎる熱い映画だったが、その成功で緩んでしまったか2作目はおざなりな出来栄え。
連続の大ヒットとなり、まあ、こんな感じで喜んでいただけるのならそれはそれでいいのかもしれないけれど。
もし第3弾があるのなら、そして、銀魂の魂を受け継ぐ気があるのなら、監督の交代を考えた方がいいように思う。
受け入れられることを受け入れた福田雄一監督からは、危険な空気が感じられない。

続いて、「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」。
タイトルよし、題材よし、出演陣よし、ということで、面白いに違いないと思って観に行ったら、期待の風船は早々にぱちんとはじけた。

もう1本、書くのが辛いが「未来のミライ」を挙げざるを得ない。
細田監督作品は、3年に1度届けられるとても貴重なプレゼントだと思い、心底楽しみにしている。
それだけにこれは・・・。

続いて、「キラキラ系こそちゃんと作ってよ」部門。
このところの邦画の一大勢力に、「キラキラ系」というのがある。
美男美女が主演し、基本高校が舞台で、花火やら学園祭やらクリスマスやらあんだかんだキランキランありつつ最後ハッピーエンドという恋愛ものである。
私はこのジャンルが嫌いではない。
「ヒロイン失格」という傑作も生まれたし、おととし公開の「ピーチガール」も楽しめた。
しかし、予定調和であるだけに、しっかり作り込まないと早々に白々した空気が流れてしまう。
去年公開された映画では、「虹色デイズ」「3D彼女 リアルガール」「となりの怪物くん」といったところが、困ったもんだのキラキラ系。
出演者目当てのライトなファンが多く来場されると思われるだけに、いい映画を作って、「案外、映画もいいもんだな」と感じてもらいたいところなのに、ここで挙げたような映画では次につながらない。

次は、「この女優さん使ってこんな映画にしないでよ」部門。

「坂道のアポロン」には、次代の日本映画を担う女優の一人である小松菜奈さんが出演。
せっかく小松さん使うのなら、ちゃんとした映画にしてください。
(「来る」は映画としてはイマイチだったが、小松さんの使い方はドキュン)

「ラプラスの魔女」には、「ちはやふる」の広瀬すずさんが出演。
この作品では、すずちゃんがどう頑張ってもどうにもならない。

「スマホを落としただけなのに」には、「なりたい顔」の常連である北川景子さんが出演。
陳腐な役を割り振らないでください。
(北川さんは、「響 -HIBIKI-」でいい演技をされている)

その他にも、困った映画はまだまだあったが、
「多分駄目だろうなあ、でも万が一があるから」
という思いで観に行った映画たちだから多くは望むまい。

誰にだって失敗はある。
どんなに優れた監督だって、駄作を作ってしまう可能性はある。
しかし、志そのものが低かったとしか思えない映画に出会うと、本当にガッカリしてしまう。

映画を作れるということは、とんでもなく恵まれたことである。
製作費の問題やら、いろいろな制約やら、そりゃあ不満はあるだろう。
それでも、映画が作れるという状況の幸せさに比べれば取るに足らないことだと思う。
作り手の皆さんは、その幸せを忘れず、是非自分自身に恥じない作品を作っていただきたい。
映画ファンは、信じて待っている。

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