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大晦日の紅白と格闘技  ~ いいもの(紅白の何人かとボクシングの井岡)を見たり、悪いもの(那須川)を見せられたり ~ [ヨモヤ]

日本の大晦日と言えば紅白歌合戦。
国民的な番組であり、1963年の視聴率は81.4%だったとか。

民放も、このお化け番組を何とか崩そうといろいろ努めてきた。
私が子供の頃には、
「コント55号の紅白歌合戦をぶっ飛ばせ!なんてことするの!?」
などという番組が放送され、そちらを見た記憶がある。
その他、いろいろな番組が作られたが、ほとんどが玉砕した。

大晦日に格闘技が放送されるようになったのは2000年ごろからだろうか。
格闘技ファンとしては嬉しいことではあるが、テレビとしてはどうしても視聴率を意識するから、
曙、ボブ・サップをはじめ、ボビー・オロゴン、金子賢といった話題性のある人間をリングに上げてしまう。
ボクシングも行われるが、よほどのスター性と実力がないと、大晦日に数字を獲るのは厳しい。
今年は、井岡の4階級への挑戦と、那須川とメイウェザーのエキシビジョンが用意された。
どちらも興味深いが、
井岡はガチ、
那須川はなにそれ、
というカードである。

私はお笑いが好きだが、大晦日の「笑ってはいけない」は見たことがない。
見たいと全く思わない。
紅白は、嫌いではない。
だから2018年の大晦日も、紅白と格闘技を掛け持ちした。

紅白は、ところどころ面白かった。
初めて見たが、あいみょんの歌には力があったし、
いきものがかりも元気そうだった。
椎名林檎と宮本浩次のコラボには危険な香りが漂っていたし、
ユーミンの登場には多くの人が幸せな気分になったと思う。
米津玄師はセットも含めて作品となっていたし、
MISIAの歌は圧巻だった。
石川さゆりも絶好調。
サザンのパフォーマンスは、やや遠慮がちだったが、楽しかった。
全部見通そうとするとちょっと骨だが、つまみ食いするにはぜいたくな番組である。
セットや演出は、いつ見てもすごい。

ボクシングでは、井岡の試合が素晴らしかった。
ただ、ハイレベルな好試合だったが、大晦日にウケる試合だったかというとどうか。
負けてしまったのも残念だった。

さて、那須川対メイウェザーである。
この試合が発表されたとき、そんな馬鹿なと思った。
本当に実現されるらしいとわかったときは、メイウェザーは9分間グルグル回るのだろうと考えた。
キックへのディフェンスはしたことがないだろうし、蹴られたら嫌だろうから。
それがボクシングルールで行われると聞いて、メイウェザーが逃げる必要もないとわかった。
メイウェザーは歴代最強とも言われるボクサーであり、かたや那須川はボクシングに関してはほとんど素人に近い。
階級も断然メイウェザーが上とあっては、脅かされる要素がない。

ぼろ負けした那須川について、
「階級に差があったし、仕方がない」
「リングに上がった勇気は素晴らしい」
という声があるかもしれない。
まあ、そういう面もないではないが、
すでに引退した、
力は全盛期の半分にも満たないと思われる、
ほとんど練習していないから身体はユルユル、
コンディション調整も何もしていない、
遊び気分満載という選手に、
エキシビジョンで1ラウンドKO負けというのは、いかにも情けない。
振り切ったパンチをもらったわけでもないのに、コロンコロン転がされる姿は、
あえて言ってしまえば、驚くべき弱さであった。
そこまで言うのは酷かもしれないが、リングに上がった以上、言い訳はできない。
同情してはかえって失礼だし、那須川もそれを望んではないだろう。

那須川はまだ若く、これからいろいろな相手と戦うだろう。
しかし、その姿を見るたび、
「ブヨブヨの遊び気分のメイウェザーに、エキシビジョンで1Rもたなかった選手ね」
という記憶がよみがえるに違いない。
キャリアに大きな傷をつけてしまったし、
やり返せる相手でもないからその傷を埋めることも永久にできない。
罪作りな試合になってしまった。
この試合を過去のものにするには、
強い相手と戦って勝ち続けるしかないが、消えることはない。

那須川の試合を見て、
企画の大切さ、
下調べの大切さ、
準備の大切さ、
想像する力の大切さ、
を学んだ気がする。
んなもの、学ぶために見たわけではないけれど。
んなもの見てる人に学ばせたら、格闘技はダメだけど。

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