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メルカリの株価は持ち直すか  ~ 新興銘柄の象徴的存在として復活を期待したい ~ [経済を眺める楽しみ]

企業が、株を一般投資家に売り出して証券取引所に上場し、誰でも株取引ができるようにすることをIPOという。
IPOは、Initial Public Offeringの頭文字から取っている。

投資家の中には、自身の投資活動の中心をIPO株に据えておられる方もおられるだろう。
何故なら、IPO株は上場の瞬間に公募価格を上回ることがほとんどだからだ。
例えば、1,000円の公募価格のIPO株を100株買えば、100,000円の投資になるが、初値が2,000円になれば、その瞬間に売ればあっという間に100,000円の利益となる。
銘柄の業績や経営者の人物像など、ネチコチ調べる手間もない。
ほとんど濡れ手に粟の世界である。
それがわかっているから、IPO株の募集には多くの投資家が群がる。

これまで私は、IPO株の抽選に参加したことがなかった。
買えれば儲かることがほぼ約束されている感じで、いわば「ボロイ」のだが、あまりよくわからない企業に儲けさせてもらうのも、なんだか潔くない気がしていたからである。
そんな私が、メルカリは買いたくなった。
初値でドンと儲かるからではなく、日本発の世界に通用するネット企業として、長く夢を見られそうな気がしたからである。

しかし、はじめて抽選に申し込む私のような人間に当たるはずもなく、メルカリの上場を、指をくわえて見ている結果になった。
メルカリの上場は、経済ニュースを超えた話題となり、初値は公募価格3,000円を大きく上回る5,000円の初値を付け、その後6,000円まで上昇した。
逃がした魚は大きかったが、買うために苦労したわけではなく、単に抽選に外れただけだから別に悔しくはない。

しかし、その後のメルカリの株価は坂道を転げ落ちるかのようだった。
上場日に付けた6,000円を最高値として、年末には1,800円を割り込んだ。
つまり、3分の1以下になったことになる。

株価下落の要因は、業績への不安である。
相場全体が下がっており、地合いに引きずられた面もないではないだろうが、それ以上に、事業の先行きへの懸念が広がっている。
8月に発表した上場後初の決算発表では、前期の42億円の赤字から、70億円の赤字へと大幅に赤字幅が拡大した。
成長期にある企業が、売り上げを拡大していく中で赤字を計上するのは、それほど珍しい話ではないが、投資家としては先行きの心配が消えないのだろう。
上場してすぐ、というのもイメージが悪かった。
またメルカリは、アメリカへの進出やキャッシュレス決済に先行投資を行っているが、日本国内の中古品市場と違い、世界の強者がしのぎを削る分野で勝ち残っていけるのか、投資家が自信を持つには至っていない。

メルカリの現在の株価は約2,000円。
私は3,000円でIPOに申し込んだのだから、2,000円なら買い時であるはずだ。
しかし、それを言えば3,000円を割り込んだ段階で買い時だったとも言えるのだが、そこからさらにズルズル下げたのも事実であり、ここからもう一段の下げがある恐れも否定できない。

株を買うか買わないかはさておき、メルカリの成長を期待している。
20世紀後半、車、テレビ、オーディオなどで世界を席巻した日本企業だが、このところは海外の企業に押されっぱなしである。
是非、日本発のサービスで世界を切り拓いてほしい。
その可能性が、メルカリにはあると思う。

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