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映画評 「500ページの夢の束」  ~ 心地よい空間「目黒シネマ」で鑑賞 ~ [映画評]

都内に、いくつかの名画座がある。
名画座とは、
旧作映画を主体に、
一定のテーマを持つなどして選んだ作品を2~3本立てで上映し、
封切館より安い料金で鑑賞できる、
といった特徴を持つ映画館である。
以前は、東京にも大阪にも数多くあったらしいが、レンタルビデオの普及などにより、多くが閉鎖されてしまっている。

私は、映画が大好きだが、一人の監督を突き詰めたいという欲求はほとんどないし、過去に公開された名作と呼ばれる作品を残らず見ておきたいという望みもない。
今の時代に生きるものとして、リアルタイムで公開されているものを中心に観たいと思っている。
だから、そうしょっちゅう名画座に行くことはない。
しかし、名画座には決して無くなって欲しくない。
いい映画をじっくりまったり観たい、
好きな映画を再び大きなスクリーンで観たい、
プロの選んだ隠れた名作に出会いたい、
といった気持ちが満たされなくなってしまうのはあまりにも残念だからだ。
あまりお金がない若い人の映画への入口としても名画座の使命は大きい。
ビデオがあっても、DVDがあっても、オンデマンドがあっても、
劇場で観る映画には替えがたい。
10年後も20年後も日本に名画座が残って、
ゆったりとした時間を、
満ち足りた気持ちで過ごせることを祈っている。

今作「500ページの夢の束」は、そんな名画座の一つ、目黒シネマで観た。
目黒シネマは、目黒駅から徒歩3分という便利なところにある、こじんまりとした美しい映画館である。
音もいい。
豊かな時間がゆっくりと流れていく。
ちなみに、目黒駅前にあるが、住所は品川区。

「500ページの夢の束」のあらすじを、映画紹介のウェブサイトに書かれている内容から要約すると、次のようになる。

『スター・トレック』について並外れた知識を持つ自閉症のウェンディは、『スター・トレック』脚本コンテストの開催を知り脚本を書き上げるが、郵送だと締め切りを過ぎてしまうことに気付く。彼女は500ページの脚本を届けるため、愛犬と一緒にハリウッドを目指す旅に出る。

私は『スター・トレック』のファンでもなんでもないが、映画好きなら、つい観に行きたくなる設定である。
実際の映画は、ここに姉妹の関係も絡んで、深みがもたらされている。
ウェンディが本当に届けたかった相手は誰なのか、最後にわかって、胸が熱くなる。

主演は、ダコタ・ファニング。
難しい役どころを、説得力十分の演技でこなしている。
まさに、彼女のための映画である。
「スター・トレック」ファンにはたまらない映画だろうが、
そちらの予備知識が全くなくても全然問題ない。
この作品単独で十分楽しめる。

現在の目黒シネマは、
「君の名前で僕を呼んで」
「アデル、ブルーは熱い色」
の二本立て。
こちらもなかなか魅力的である。

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