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特別監察委員会報告書の「たたき台」を自ら作成する厚生労働省の感覚 [ヨモヤ]

厚生労働省による勤労統計の不適切調査問題については、1月11日付のこのブログでも取り上げたが、事態はその後鎮静化するどころか、ますます悪化している。
https://matoko.blog.so-net.ne.jp/2019-01-11

統計に不備があったのは、どうやら勤労統計だけではなく、多くの省庁に及ぶようだ。
56の基幹統計中、7省庁が調査する22の統計で31件の問題が見つかったというのだが、こうズルズル出てくるようでは、
「国の示す統計調査は基本信用しない方がいい」
とさえなりかねない。
国民の一人として、恥ずかしい。

せめてこの機会に膿を出し切り、新たなスタートを切りたいところだが、厚生労働省の自浄作用には期待ができないようだ。
それは、特別監査委員会での調査報告をめぐるドタバタではっきりしてしまった。

特別監察委員会は、設置から報告書を取りまとめるまで7日間しかかけていないことで、まず批判を受けた。
しかし、時間が短くても、専門家がしっかりした調査をしていたのなら問題はない。
だが中身を見たところ、
・一部職員の聞き取り調査を厚労省職員が担っていた
・抽出調査にしていた理由を「都道府県からの要望」と主張する職員の聞き取りをそのまま報告書に記載していたが、自治体から聴取をしていなかった
などの実態が浮かび上がった。
これでは、とても第三者機関による、専門的な調査とは言えない。
不適切調査に関する調査が不適切という、もはやジョークのような展開である。

さらに、報告書の「たたき台」を厚生労働省自身が作っていたとあっては、調査の客観性にさえ疑問が生じる。
これだけの大問題になっているのに、こうした調査の仕方でなんとかなると考えている感覚も理解に苦しむところである。

根本厚生労働大臣は特別監察委員会の調査を追加で行うことを明らかにされた。
追加調査は当然であるが、大いにミソをつけてしまった同委員会による調査に期待する人はほとんどいないだろう。
では、どうしたらいいのか。
これは、本気になって考えていただくしかないと思う。
時間がかかっても、
手間がかかっても。
真正面から。

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