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二足早い第42回日本アカデミー賞予想  ~ あの作品の不在が超不満だが ~ [映画評]

第42回日本アカデミー賞の優秀作が発表された。
最優秀作の発表は3月1日ということでかなり先だが、二足ほど早く予想してみたい。

まずは、最優秀作品賞&最優秀監督賞。
最優秀作品が、その年の頂点であり、花形である。
優秀作品と優秀監督は当然ながら別々の賞だが、最優秀作品を撮った監督が最優秀監督賞を獲るケースがほとんどで、一体として予想する。

作品賞のノミネートは以下の作品
『カメラを止めるな!』
『北の桜守』
『孤狼の血』
『空飛ぶタイヤ』
『万引き家族』
そして、監督賞は以下の面々
上田慎一郎『カメラを止めるな!』
是枝裕和『万引き家族』
白石和彌『孤狼の血』
滝田洋二郎『北の桜守』
本木克英『空飛ぶタイヤ』
作品賞の候補と監督賞の候補がドン被りしていることがわかる。

『孤狼の血』は大好きな作品だが、受賞を争うのは、『万引き家族』と『カメラを止めるな!』ではないかと思う。
しかし、全くタイプの違うこの2作品に優劣をつけるのは土台無理な話である。
作品賞を『カメ止め』にし、監督賞に是枝さんを選べば座りはいいようにも思うが、そうはならないだろう。
『カメ止め』を応援したい気持ちもあるが、冷静に考えれば、カンヌグランプリ云々は抜きにしても、『万引き家族』が作品賞、監督賞の両方を獲るべきだと思う。
素晴らしい作品だった。

続いて、主演男優賞のノミネートは以下の面々。
岡田准一『散り椿』
舘ひろし『終わった人』
濱津隆之『カメラを止めるな!』
役所広司『孤狼の血』
リリー・フランキー『万引き家族』

ここは役所さんとリリーさんで割れそう。
アカデミー賞の常連で新鮮味はないが、『孤狼の血』で鬼気迫る演技を見せてくださった役所さんに獲っていただきたい。

主演女優賞のノミネートは以下の面々。
安藤サクラ『万引き家族』
黒木華『日日是好日』
篠原涼子『人魚の眠る家』
松岡茉優『勝手にふるえてろ』
吉永小百合『北の桜守』

松岡さんのことを応援しているし、『勝手にふるえてろ』も嫌いではないが、作品の力という点で『万引き家族』には及ばない。
黒木さんも同様。
ここは、安藤さんの受賞が順当ではないかと思う。

助演男優賞のノミネートは以下の面々。
岸部一徳『北の桜守』
ディーン・フジオカ『空飛ぶタイヤ』
西島秀俊『散り椿』
二宮和也『検察側の罪人』
松坂桃李『孤狼の血』

二宮くんの演技はよかったが、作品がイケテナイ。
『万引き家族』勢がいないこのジャンルは、役所さんに負けない熱演を見せた松坂くんが獲るだろう。

優秀助演女優賞のノミネートは以下の方々。
樹木希林『日日是好日』
樹木希林『万引き家族』
篠原涼子『北の桜守』
深田恭子『空飛ぶタイヤ』
真木よう子『孤狼の血』
松岡茉優『万引き家族』

助演女優賞は、今回では一番の鉄板だと勝手に思う。
惜しくも亡くなられた樹木希林さんで間違いないだろう。

優秀脚本賞のノミネートは以下のとおり。
池上純哉『孤狼の血』
上田慎一郎『カメラを止めるな!』
是枝裕和『万引き家族』
那須真知子『北の桜守』
林民夫『空飛ぶタイヤ』

『カメ止め』はここで受賞するのではないかと思う。
実際、脚本の勝利だった。

優秀アニメーション作品賞のノミネートは以下のとおり。
『ドラゴンボール超(スーパー) ブロリー』
『ペンギン・ハイウェイ』
『未来のミライ』
『名探偵コナン ゼロの執行人(しっこうにん)』
『若おかみは小学生!』

『若おかみ』は泣かせたが、賞となると『ペンギン・ハイウェイ』と『未来のミライ』の一騎打ちだろう。
『未来のミライ』は海外の映画賞で高評価を得ているようだが、細田監督作品としてはどう見ても失敗。
一方の『ペンギン・ハイウェイ』は2018年の夏を代表する傑作。
素直に、ペンギンの受賞を予想する。

優秀外国作品賞のノミネートは以下のとおり。
『グレイテスト・ショーマン』
『シェイプ・オブ・ウォーター』
『スリー・ビルボード』
『ボヘミアン・ラプソディ』
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』

純粋に作品で評価するなら『シェイプ・オブ・ウォーター』だと思うが、年後半からの勢いを考えると『ボヘミアン・ラプソディ』は止められないだろう。

『万引き家族』と『孤狼の血』が多くのノミネートとなるのは順当なところだし、
『カメラを止めるな!』が台風の目になるのもいいことだと思う。
しかし、個人的に激烈に不満なのは、日本映画史に残る青春映画の金字塔『ちはやふる』がどこにもノミネートされていないことである。
確かに、欠点も少なくない作品だったし、娯楽作に振れ過ぎた面はあった。
それでも、三作シリーズであのクオリティを保ち続けたのは驚異的だし、
広瀬すずを映画女優として一本立ちさせ、
真剣佑を発掘し、
若手バイプレイヤーを次々に送り出した、
などの功績も計り知れない。
作品賞か監督賞、すずちゃんの主演女優賞あたりは、あってしかるべきだと思う。
それほどしゃかりきになるほどのことはないとわかっているが、「ちはやふる」の不在は、猛烈に残念である。
授賞式会場に、あのメンバーが集まっている光景を見てみたかった。

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