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国から地方への疑似強制的計画策定要請の弊害 [ヨモヤ]

少し前の話になるが、全国知事会の飯泉嘉門会長と河野太郎行政改革担当相が意見交換された。
そのなかで知事会は、
環境や福祉、まちづくりなどさまざまな分野で国が自治体に行政計画の策定を求め、関連作業を増やし過ぎている、
として見直すよう要請されたという。
河野大臣は知事会からの注文に
「提案はいずれもごもっともなものばかりだ」
とおっしゃったそうだ。
ぜひともお願いしたい。

2000年に地方分権一括法が施行され、国と地方は対等・協力の関係になったはずだが、
実際にそうなっていると認識している官僚・地方公務員はどれくらいいるだろう。
公務員以外の方も含めて、
おそらく半々とかいうレベルではなく、
8対2とかいう感じでもなく、
国と地方が対等になったと感じている人はゼロではないだろうか。
意識の上で対等ではないだけならまだいいが(本当はよくないが)、
本来ならやってはいけない国からの業務の押し付けも四六時中ある。
つまり、実質的にも対等ではない。
地方分権、なにやらセピア色の言葉である。

もちろん、法的に押し付けはできないので、
全国に一律の補助金を交付し、やらなければやらないでいいけれど何言われても知りませんよ的なパターンであったり、
この計画作らなかったら起債できませんよだったり。
実質的にはまごうことなき強制である。
こんなことがそこらじゅうで行われている。
これなら国が直轄でやった方がいい、
むしろ以前の機関委任事務の方がすっきりする、
などと言いたくもなる。

そうしたなかで知事会から河野大臣に対して、計画の義務付けの見直しを要請したのは意義があることだと思う。
個々の省庁では、おそらく悪気なくやっているのだろう。
しかし、受ける自治体としてはかなわない。
大臣に伝わったのだから、今後は自重してもらえるだろうか。

国の人としては、
地方がやるべきことをちゃんとやらないから義務付けせざるを得ないのだ、
と言いたいかもしれない。
しかし、そうした全国一律の弊害が目に余ったからこその地方分権であることを忘れないでいただきたい。
本当に全国が足並みをそろえてやらなければならないのなら、
自治体を勝手に手足にしないで自ら直接やるべきであろう。

国家公務員が、以前にも増して多忙になり、それまでならできた気配り目配りもできなくなってきていると聞く。
大変だろうと思う。
しかし、執行面の配慮が十分にできない政策を地方に押し付けては、負の連鎖になるばかりである。

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