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永遠に語り継がれる死闘 ~ 阿部一二三 対 丸山城志郎 ~ [ヨモヤ]

オリンピックに向けた選手選考において、
かつては、なにやらもやもやしたことが少なくなかった。
しかし最近は、選考基準がオープンにされ、それに沿って選ばれるようになっている。

水泳は日本選手権の結果で決めているし、
恒例のように物議をかもしたマラソンでも一発勝負を採用した。
出ればメダルが期待される柔道でも、きっちりした選考基準がある。
東京オリンピックに向けては、
世界選手権とグランドスラム大阪大会の両方で優勝した選手は、強化委員会の3分の2以上の賛成で決定、
その後は、ワールドマスターズ、GSパリ、GSデュッセルドルフの3大会終了後、強化委員会の3分の2以上の賛成で代表を決定する、
というものである。

しかし、66キロ級だけは代表が決まらなかった。
なぜなら、二人の世界チャンピオン、阿部一二三と丸山城志郎の二人が、拮抗した戦いを続けたからである。
もともとは、天才と謳われた阿部がリードしていた。
一本をもぎ取るスター性のある戦いぶりで、
妹の詩も世界チャンピオンであり、
注目度は全柔道選手の中でのナンバーワンだろう。
しかし、4つ年上の丸山が追い上げた。
2018年から直接対決で3連勝し、逆に一歩抜け出た時期もあった。
その後も一進一退の展開が続き、
今回、柔道史上初のワンマッチによる代表決定戦が行われたのである。

オリンピックの柔道は、見ていて面白くない。
強豪とされる選手同士が対戦すると、互いに組み合おうとしないからである。
勝ちに徹する上で、その方法論はわからなくはないが、わずか4分間の試合時間であるため、
先に小さなポイントでも取った方が有利になり、
それを恐れるがゆえにさらに消極的になるという悪循環。
指導の回数で勝負が決まるのでは、柔道という種目の魅力が全くなくなってしまう。

阿部と丸山のワンマッチは、
プロレスで言うと、時間無制限一本勝負、のような感じだった。
4分間でもスタミナ切れする選手がいくらでもいるなか、
二人が戦った時間はなんと24分間。
鍛え抜かれた二人による濃密な時間だった。

試合は、丸山がコントロールしているように見えたが、紙一重の差で阿部が勝利。
これで二人の対戦成績は4勝4敗となった。
まさに拮抗した二人である。

二人の戦った時間は、永遠に語り継がれることだろう。
ただし、この24分間をさらに光り輝かせるためには、東京オリンピックで阿部が金メダルを獲ることが必要である。
苦しみ抜いた阿部なら、きっとやり遂げると期待したい。

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