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映画評 「ミセス・ノイズィ」 [映画評]

著名な俳優さんがほとんど出演していない本作。
にもかかわらず私が観た劇場は、ほぼ満席の盛況。
評判が口コミで広がっているようだ。

公式HPのあらすじをかいつまむと、こんな感じになる。
「小説家であり、母親でもある主人公は、今はスランプ。
その状況をさらに悪化させたのは引っ越し先の隣人。早朝から布団を叩く騒音に加え、子どもをめぐってのトラブルもあり、主人公のストレスは溜まる一方。
執筆は一向に進まず、おかげで家族ともギクシャクし、心の平穏を奪われていく。
主人公は、相手を小説のネタに書くことで反撃に出る。
しかしそれが、家族や世間を巻き込んでいき、やがてマスコミを騒がす大事件へと発展……。」

かなり以前の話になるが、かつて騒音おばさんと呼ばれて、世間を騒がせた事件があった。
本作はそれに題材を取っている。
ただし、加害者側とされた方の背景も描くことで、物語に深みを足している。

映像は粗く、演出も大雑把な感じで、いかにも低予算で作られた感じがする。
しかし、本作ではそれがいい味になっている。

テンポよく映画は進み、楽しく観ることができたのだが、
はじめから主人公の行動に「?」がついてしまうのがどうだったか。
おばさんの行動もさることながら、主人公の対応も腑に落ちるものではなく、同情心を持つことができないのだ。
序盤は、もっとおばさんの行動にこちらも憤らせて欲しかった。
それがないから、後半にエクスタシーが得られない。

オチも、おそらくは大方の予想通り。
もうひとひねりあってもよかったのでは。

監督・脚本を手掛けられたのは天野千尋さんという女性。
Wikiによれば名古屋大学法学部法律政治学科卒業らしい。
本作でもちょっとだけ法律絡みのシーンが出てくる。
次回作も注目である。

主演の篠原ゆき子さんがよかった。
喜怒哀楽の激しい役をコミカルに表情豊かに演じられた。
こちらも今後に注目したい。

「ミセス・ノイズィ」は、評判が広がっている作品。
わかりやすさと身につまされる面が共存する娯楽作。
大穴に出会えた喜びまではなかったが、楽しく観ることができた。

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