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来年には3万円との声が上がる株式市場への期待と不安 [経済を眺める楽しみ]

「不景気の株高」という言葉がある。
通常、株式市場は景気と連動して上下するはずが、景気が悪いにも関わらず上昇することがあり、
この言葉はそうした状況を示している。
こうしたことが起きる理由としては、
1 現時点では景気が悪いが、早晩回復する見込みが濃厚であるため
2 景気対策として金融緩和が実施され、余剰資金が株式市場に流れ込むため
といったことが挙げられるだろう。

2020年の株式市場は、まさに「不景気の株高」だったと言えるだろう。
実体経済は、「史上最悪の落ち込み」だったのに、
株式市場は、「バブル崩壊後最高値」を付けたのだから。

今年の株高の原因を考えると、先に挙げた「不景気の株高」の要因が見事に当てはまる。
今回の景気の落ち込みは、経済循環によるものではなく疫病によるものなので、その障害が除かれれば回復することが大いに期待できるうえ、
世界中が空前のレベルで財政金融政策を発動したので、いわゆる「金余り」にもなっている。

今月に入って、世界中からワクチンの接種が始まったというニュースが伝わって来る。
このことは、もちろん実体経済にとってプラスであり、
株式市場にもポジティブに働く。
ここまでのところ、株価も素直に反応しているようだ。
ワクチンが広がり、コロナ禍がある程度治まり、経済が正常化することを前提として、世界の株価が上がるという構図である。
すでに高くなっている気もするが。

証券会社の人をはじめ、市場関係者は、商売柄なのか強気の人が多い。
2020年の上昇を踏まえ、2021年には日経平均が3万円にトライすると見ている人が少なくないようだ。
業績に裏付けがない上昇であるだけに、そこまで上がるとは思いにくいのだが、まだ先があると考えているらしい。

零細投資家としても、生活人としても、株価には上がってほしいと思う。
しかし、これ以上の一本調子の上がり方には危うさを感じる。
急激に上がったものは、急激に下がる可能性があることは、これまでの市場で散々学ばされてきた。

上昇相場に乗らないと資産は増えていかないとわかりつつ、
ここで飛び乗るのにも気が引ける。
そううまくはいかないとわかりつつ、
今の水準を下限として、あとは業績に見合った上昇となればありがたいのだが。

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